古文を書く試み。
例の年ならずさみだれといふことのなきに、殿には階のもとの薔薇夏知り顔に開きたり。屋の奥はなほ涼しげなるを、庭には池の面を揺らす風のひと吹きだになくて、中の島はゆらゆらとかげろふに揺らぎて見ゆ。橋の下ばかりぞ影くろくて、頭もたげて覗くほどに鯉どもの泳げるがおぼろに見ゆるに、従者の頼(たより)といふ、おそろしきにかしらの毛ふとる心地ぞしける。
島のかたへの橋のたもとに、なににかあらん、うごくものあり。小暗ければ昼になれたる目にはやがてそれともわかず。
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