2011年4月4日月曜日

昼つ方、池の橋にさだのり(定則)、ひろまさ(弘雅)来たり。さだのり大きなる甕、ひろまさは杖持ちて、ひぢ(泥)やある、ひぢやある、池の鯉とれ、大君の若君に見せたてまつりたまはむとぞ、とをめく。聞きて出づるに、杖の見ゆれば、あなゆゆし、われをしたたか打ちし杖なりとていみじう怖ぢぬ。橋かげにささと逃ぐるを見とがめつれば、呼びて、鯉とれ、とらねばうつとおどすぞあながちなる。