2012年10月21日日曜日

まことは、枕草紙ひもときしはじめより、としごろ、心のすすむままにかずかずいにしへふみども読みてけるに、やうやう、これは心おごりやしてけん、われは枕も読めり、源氏も読めりとてしたり顔に差し出でがちにてありけるぞなかなかに面ぶせなる。ありしやう、ひとくだりひとくだり、おぼつかなからむはあきらめ、心入れ、おほなおほな考へてぞなほあるべかりける。うひうひしかりしほど思ひ出づべし。

ふみよみ、知れば得たりとかしこげに思ひなすに、さは、おのれしかるべからむをりにも必ずよみしさまにもえ書き出づべきやは。さきの歌、「人に見ゆらめ」は「人には見えめ」とぞよむべかりける。さなくはえしられず。かやうのことだにつけてもなほをさなきことしるべし。

いにしへの心をたづねふみみればかくぞとほくてちかきみちなる

2012年10月19日金曜日


世の中のさはがしかりつるままに、あへなう、え書きやらずなりぬるくちをしうなむ。かばかりのをりこそ、あがことにあらずがほにしもあるべかりけれ。わたくしにも、わりなくあさましきことのみありしかば、それさへうち重ねわびしくてなむかく久しくはなりにける。などかうてあるべき、なほ、

はちすとも人は見ゆらめ谷の奥に生い咲くからに香やは隔てる