まことは、枕草紙ひもときしはじめより、としごろ、心のすすむままにかずかずいにしへふみども読みてけるに、やうやう、これは心おごりやしてけん、われは枕も読めり、源氏も読めりとてしたり顔に差し出でがちにてありけるぞなかなかに面ぶせなる。ありしやう、ひとくだりひとくだり、おぼつかなからむはあきらめ、心入れ、おほなおほな考へてぞなほあるべかりける。うひうひしかりしほど思ひ出づべし。
ふみよみ、知れば得たりとかしこげに思ひなすに、さは、おのれしかるべからむをりにも必ずよみしさまにもえ書き出づべきやは。さきの歌、「人に見ゆらめ」は「人には見えめ」とぞよむべかりける。さなくはえしられず。かやうのことだにつけてもなほをさなきことしるべし。
いにしへの心をたづねふみみればかくぞとほくてちかきみちなる
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